「シンポジウム2」 一覧
テーマ
「南庄内VS北庄内VSもがみ 地域一体型NSTの実態本音トーク
~課題イッパイ!やりがい・手ごたえもイッパイ!!」
座長
星 利佳
南庄内地域一体型NST 小川豊美
所属
株式会社とよみ 代表取締役
略歴
- 1986年 鯉渕学園(こいぶちがくえん)生活栄養科 作物保護特研 卒業
- 1987年 (協)山形給食センター勤務
- 1990年 管理栄養士資格取得
- 1991年 庄内余目病院 栄養科 副科長
- 1995年 特別養護老人ホーム勤務
- 1996年 鶴岡市内開業医に勤務
- 2002年 庄内まちづくり協同組合 勤務
- 2010年 合同会社 とよみ管理栄養士事務所開設
- 2011年 株式会社 とよみ設立 代表取締役
プロフィール
主な役職
- 2012年~2013年(社)日本栄養士会 全国地域活動協議会役員
- 2015年~ (公)日本栄養士会認定栄養ケア・ステーション事業推進委員
- 2018年~ (公)日本栄養士会認定栄養ケア・ステーション認定委員
- 2021年5月~ 日本褥瘡学会・在宅ケア推進協議会 評議員
略
主な資格
- 管理栄養士
- 食育インストラクター
- 国際薬膳食育師3級
- 在宅訪問管理栄養士
略
所属学会
- (公益社団)日本栄養士会
- (一般社団)日本在宅栄養管理学会日本介護支援専門員協会
- 日本褥瘡学会・在宅ケア推進協会
- 日本医療マネジメント学会
- 日本在宅医療連合学会
賞
- 平成29年8月7日 公法益社団法人日本栄養士会:国民栄養改善功労賞
- 平成30年11月 山形県知事賞:健康づくり・栄養改善関係功労者令和
- 令和2年8月 厚生労働大臣賞:栄養改善関係功労者
【はじめに】
地域医療が抱える課題を「たべる」にフォーカスした解決の取り組みを紹介する。フレイル予防・疾患の病状の重症化予防を行い地域で活力ある暮らしを継続することが大きな課題のひとつでもあると考える。しかし、現状は何らかの疾患で病院に入院すれば院内のチーム医療が関わるが、退院後はその関りはほぼ皆無となる。退院後在宅生活を支える地域医療・福祉・異業種のサポート体制とその活用ができるシステムと環境が必要となってくる。いわゆる包括的な社会連携が必要になってくる。
【異業種連携の活動内容】
当地域では2018年から南庄内たべるを支援し隊の人を超えたメンバーがチームを組み在宅訪問の活動を実践している。システム構築がほぼ完成し実践に移行した中での新型コロナウイルス感染の影響で訪問制限がかなりあったが、ZOOMを使った症例検討・会議を継続している。又、当地域の医療連携ネットワーク「Net4U」の活用を行い情報の取集・共有を図っている。
【背景】
鶴岡市は人口126,093人・高齢化率33%の自然豊かな地域である。三世代同居率も高く更に共働き率も多い地域である。人口減少に伴い地位に課題をどうするか、地域資源と食環境に於いては独居・買い物に困っている世帯や医療・介護の問題を解決するには医療・介護連携のみでは解決できないと考える。重要なのは、異業種連携と本来の「ごちゃまぜ」社会である。
地域資源を活かした「食形態パンフレット」「食形態名一覧表」の研修会・地元調理人とソフト食メニュー開発等をして食事の提供を実施している。栄養改善の効果を高める内容の食事を行い、地域が一体となり楽しみながら食事をして身体機能の向上に繋がり社会へ参加していくことを目指している。
【地域一体型NST活動内容】
活動フロー:鶴岡地区医師会地域医療連携室ほたるを窓口にして法人を超えたチームメンバーが訪問しカンファレンスを重ねてアウトカムに繋げる。在宅において栄養介入に必要な栄養ケア・マネジメントを実施する。対象者の栄養状態を適正に把握し状態に合わせて計画を立案して評価し状態変化に伴い、的確なタイミングでギアチェンジしていく。
【考察】
地域一体型NSTは、ただ単に食事摂取量が増加して検査データーが改善するだけが目標ではない。対象者がどのような生活をしていきたいか、その都度・都度起動修正し心豊かな時間を重ねてもらいたいと考える。チームを組むことにより各々の強みを活かすことが出来ると考える。
【今後へ】
私達だからできる事は?最期まで本人として生活が出来ることへ寄り添い伴走する事。
症例を通して実践型の介入で普段の生活の相談も受けるようになり、問題解決の為関係する多職種へ情報発信を行い介護者の精神的な軽減にもなった。地域の社会資源を有効に活用し、本活動の運用を強化実践することで在宅生活が安心して暮らし続けられる「まちづくり」に繋げたい。
北庄内地域一体型NST 佐藤裕邦
所属
医療法人健友会 介護事業部次長
略歴
弘前大学医療技術短期大学部 作業療法学科卒後、青森市の精神病院にて精神科リハビリを 12 年間。
平成 8 年4月に酒田に戻り、老人保健施設にリハビリ職として入職。その後、事業所の運営管理を任される。
現在、医療法人健友会 介護事業部次長。
プロフィール
主な役職
◆これまで
山形県介護支援専門員協会 会長
略
◆現在
北庄内食援隊 事務局長(令和 2 年 12 月~)
山形大学医学部看護学科 非常勤講師
略
主な資格
- 作業療法士
- 介護支援専門員
令和元年 9 月から「多職種による口腔ケア・食の支援とリハビリテーションに関わる団体の情報交換会」として歯科医師会、栄養士会、老健施設のリハビリ専門職が集まり、地域での口腔ケアから食支援、そしてリハビリテーションまでの連携を作る為に情報交換をしてきた。令和 2 年 12 月に北庄内食援隊と名称を改め、歯科医師、薬剤師、管理栄養士、リハビリ専門療法士、歯科衛生士、ケアマネジャー、行政関係者が会員として登録された。
目的は、食支援から生活の自立支援に関わる職能団体が一緒になって食支援に対する意識を向上させること、あわせて一般市民にも「食支援」重要性を伝えていくことを掲げている。
コロナ禍で活動が思うように出来ず、令和 4 年 5 月からは、可能な形で感染予防しながら、研修会を始めた。5 月には最新の家電調理器で介護食を作るという研修会を開催した。
7 月には食事の時の姿勢を考える研修会を作業療法士・理学療法士による実技指導の研修会を行った。令和 4 年度の活動として在宅でのミールラウンドも行いたいと考えている。 こうした取り組みを継続し、私たちが描く地域の将来の姿は、調理師やご家庭で料理をする人の参加をふやして、家族みんなが同じものを同じ食卓で、または町の店でも家族が一緒に食事が出来るようになればと考えている。おいしいモノが沢山ある庄内地域で、当たり前に最期まで食を楽しむことができることを目指したい。
最上地域一体型NST 小内 裕
所属
医療法人 小内医院院長
略歴
- 1999年3月:学校法人秀明学園卒業(埼玉県)
- 2000年4月:埼玉医科大学医学部入学
- 2006年3月:埼玉医科大学医学部卒業
- 2006年4月:埼玉医科大学病院前期研修医
- 2007年4月:藤田医科大学ばんたね病院前期研修医
- 2008年6月:独立行政法人中部ろうさい病院後期研修医
- 2009年6月:独立行政法人中部ろうさい病院糖尿病・内分泌内科医員
- 2011年4月:独立行政法人中部ろうさい病院糖尿病・内分泌内科医長
- 2016年4月:医療法人財団織本病院内科医員
- 2017年6月:医療法人小内医院副院長
- 2018年8月:医療法人小内医院院長
プロフィール
所属学会等
- 日本プライマリ・ケア連合学会プライマリケア認定医
- 日本内科学会認定医・総合内科専門医
- 日本糖尿病学会専門医
- 日本肥満学会専門医
- 日本糖尿病合併症学会会員
- 日本病態栄養学会会員
- アジア糖尿病学会会員
- アメリカ内科学会会員
- 日本糖尿病協会会員・糖尿病療養指導医
- 認定産業医
- 日本音楽療法学会会員
- 日本フットケア・足病学会会員
- 日本医学教育学会会員
- 山形県医師会会員
- 糖尿病カンバセーション・マップTMエキスパートトレーナー
- 山形糖尿病療養指導士会認定委員会委員
- 最上糖尿病連携研究会「チームいすいーっす!」会長
- 新庄コミュニティ放送株式会社取締役・あすラジパーソナリティー
受賞
日本糖尿病協会国際交流研究奨励賞(2013年、2014年、2016年)
日本糖尿病協会ウイリアム・カレン賞(2018年)
アジア糖尿尿学会Presentation Grant(2021年)
演題
地域一体型NST「食うべじゅ」の活動報告(医師の視点から)
【背景】
高齢化に伴い、栄養障害を有する患者は増加している。加えて、最上地域では在宅訪問医療を行なっていない医療機関が多く、適切な診療介入が出来なかった。その問題点を解決させるため、山形県最上地域に地域一体型NST「食うべじゅ」を2020年1月発足させた。
【経過】
メンバーは、医師、看護師、薬剤師、管理栄養士、理学療法士、作業療法士、介護支援専門員、歯科衛生士、訪問看護ステーション職員、総合支庁職員等で構成されている。2022年7月現在、「食うべじゅ」介入症例は6例である。
【考察】
「食うべじゅ」の課題は、基幹病院ならびに深慮所との定期的な連携を行うこと、診療報酬がないこと、人手不足、栄養評価方法が定まっていないことなどが挙げられる。今後はタブレットなどを用いて、簡易栄養評価法、動画を用いた身体的評価方法、積極的なオンライン検討会を行う予定である。