筆者
栗原 智広
プライマリ・ケア認定薬剤師
研修認定薬剤師
栗原流 薬剤師の資格を使って充実した仕事| 現在の仕事
高齢化率40%の地域医療を学べる【保険薬局の薬剤師】
3000人以上の薬剤師が在籍している日本調剤を退職し、薬剤師7人の地域密着型薬局に転職しました。
どちらも良い点と悪い点はあります。
転職して良かった点、転職して悪かった点
- 自分の考えと会社の指示が異なった場合は、直接社長に自分の考えを伝え確認した上で仕事を進められるため、納得して仕事ができる
- 日本調剤の時よりも在宅医療にかける時間に制限されるプレッシャーは少ないと感じている。他職種協働の在宅療養支援を集中して実施できる
- 会社員的ノルマが少ない分、医療者の役割に集中しやすい
- 固定休以外に休みを取りにくい
- 会社からの指示が少ない分、自分で考えて働く力が必要
転職時に一番心配していた「システム的に時代遅れではないか」ということについては、大手企業と比較しても時代遅れに感じることはほとんどなかった。また、「給与が不安定かもしれないと不安」もあったが心配は全く必要なかったと転職して感じた。
現在は転職してから3年程度勤務中。
個別指導を実施する側の視点を得られる【厚生局の指導薬剤師】
2022年4月から新たに就く仕事で、具体的な仕事ややりがいや大変さなどはまだ経験していないので、1年ぐらい経過してからまとめていきます。
しっかりと仕事をしていたとしても「個別指導」にネガティブなイメージを持つのは保険薬局で働く人の中には少なくありません。
それはおそらく、普段の自分の仕事を見られる抵抗や、指摘されたら薬剤師としての自分の仕事を否定されたように感じるのだと推察します。
それ以外にも、国が考える薬剤師の役割と現場の薬剤師が感じている役割のギャップが一因かもしれません。
薬剤師の日常業務の参考に、個別指導でよくある指摘事項や、現場の薬剤師目線の解釈と対応についてブログやSNSで発信していきます。
手当をもらいながら介護保険を学べる【自治体の介護認定審査委員】
介護認定審査委員とは、介護認定を決定する委員会の委員です。
介護認定が決定した人は様々なサービスを介護保険を使って利用することができます。
介護認定までの流れ
介護認定調査票&主治医意見書 → 機械的に1次判定 → 介護認定審査会で2次判定 → 介護認定
介護認定審査委員の仕事は、介護認定調査票&主治医意見書&1次判定を踏まえて、介護度と認定期間を決定します。
介護認定審査委員に就いて2年の経験をもとに、薬剤師がその仕事をする良い点と悪い点をご紹介します。
審査員になる専門職は
医師、歯科医師、薬剤師、看護師、介護福祉士、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士など
- 薬学部や現場では介護保険や介護状態について学ぶ機会はほとんどなく知識が薄いが、介護認定審査委員になると介護認定審査会を通して学ぶことができる
- 審査会は夜に開催されるため、普段の仕事に影響はない
- 薬剤師以外にも、医師、歯科医師、看護師、介護福祉士など他職種の4名で会議が行われるため、各職種の視点からの評価を聞くことができる
- 介護認定審査会は審査会前に事前準備が必要。審査会の2週間程前に約40名分の審査対象者の資料が送られてきて、全てに目を通し事前判定をします
- 審査会自体は30〜60分で終わるが、事前判定には半日程度時間を要する
介護認定審査会の開催は平均すると、月に1回程度です。
他職種と繋がりを作れる【自立支援型地域ケア会議助言者】
自立支援型地域ケア会議に年に4、5回参加しています。
自立支援型地域ケア会議とは
介護支援専門員(ケアマネジャー)がケア会議で検討する対象者のケアプラン等を市へ提出し、対象者の介護度を下げるため、つまり自立支援を目的として医療専門職がケアマネジャーに助言する会議です。
会議に参加する専門職は
薬剤師、理学療法士(PT)、作業療法士(OT)、言語聴覚士(ST)、歯科衛生士、管理栄養士です。
- ケアマネジャーへの他職種の助言を聞けるため、医療職としての視野が拡がる
- 薬局では知りにくい生活背景や家族環境、ケアマネジャーの悩みなど踏まえた情報から、薬剤師の視点で助言する経験を得られる
- 行政の方や助言をする他職種や事例提供するケアマネジャーと繋がりを持てる
- 会議の開催時間が平日午後に2時間程度要するため、メインの仕事に影響があるため職場の理解が必要
- 薬剤師の助言を必要とするケースは少ない印象
子供教育に関わることで承認欲求が満たされる【学校薬剤師】
県立高校の学校薬剤師を担当しています。活動頻度は、年に3〜5回です。
業務内容は学校薬剤師によって違いますが、私が担当している学校は進学校ということから通常の授業を優先し、学校薬剤師から生徒への授業を現状期待されていません。
具体的な業務は、4月に検査器具点検、夏にダニ検査、冬に空気検査、年に1回の学校保健委員会の出席です。
他の検査項目は養護教諭と話し合って必要時実施しています。
最近は、新型コロナウイルス対策に対するリテラシー向上のために、日本薬剤師会から文書で出されたFAQをYouTubeにアップし、保健だよりに載せて配布してもらいました。
- まとまった手当がある
- 年間の活動自体は学校により差はあるが5回程度である
- 子供教育に関われる満足度、承認欲求を薬剤師でも得ることができる
- 学校薬剤師は各学校に1名のため、就いたらいきなり一人でやらないといけない
- 何かやろうと思っても、学校の体制によってはできないことも多い
保険薬局でも病院薬剤師のように多職種協働を学び、経験できる【地域一体型NST・在宅NST】
地域一体型NSTのメンバーとして活動しています。今はボランティアに近い活動です。
NSTとは栄養サポートチームのことで、病院の中には入院患者の栄養サポートチームが組織されています。
在宅療養患者の栄養管理は自身に任されているため、低栄養状態の人増加が課題になっている地域は多いです。
地域一体型NSTとは
在宅療養をしている方の栄養管理をサポートをする目的で、多事業所の医療スタッフでチームを組んで構成されたNSTです。
チーム構成の専門職は
薬剤師、医師、看護師、歯科医師、管理栄養士、言語聴覚士、作業療法士、理学療法士、歯科衛生士、地域医療連携室、保健所、市役所となっています。
- 在宅医療に携わっている多職種とチームを組むため、人と人の強い繋がりを作ることができる
- 薬剤師一人では解決が困難な患者に多職種チームで関われるため、普段薬局では学べない経験が得られる
- カンファレンスは夜開催のため、日中の業務に影響を及ぼさない
- NST訪問は日中のため、職場の理解が必要となる
- 十分な報酬はなく、現状はボランティアに近い状態
以前は、保険薬局では勉強ができないという理由で病院薬剤師に転職をする人もいました。今は、病院薬剤師にならなくても、地域の中で多職種チームの一因として困難事例に関われます。
ただし、保険薬局全てでできる訳ではないので、求人情報やその薬局の経営者、管理者の意見を聞くことが必要です。
日常的に介護している他職種と連携を実践できる【有料老人ホームの薬のコンサル】
これから頑張りたい分野です。保険薬局の薬剤師として居宅療養管理指導で施設の薬剤管理をサポートしています。
有料老人ホームでは、以前よりも医療依存度の高い方が療養されるようになっています。病院に入院している時は、病院薬剤師が薬剤管理をしている訳ですが、有料老人ホームに入居となると薬の素人のスタッフが薬の管理をしています。もう少し分かりやすく言うと、医師が常在している病院でも薬の管理には薬剤師が必要なのに、医師がいない介護施設では介護スタッフが薬の管理をするのはリスクでしかありません。
今まで以上に施設における薬剤師の介入を進めていきたいと私は考えています。
- 薬局で薬を渡すだけでなく施設での薬の管理に薬剤師が関わることで、医師の処方設計に提案しやすくなる
- 居宅療養管理指導に関わることで薬局経営のメリットとなる
- 在宅療養の場合は、患者本人の聞き取り情報をもとにアセスメントするが、施設の場合はケアスタッフから確認ができるため、服薬状況、体調変動を把握する上でとても参考となる
- 施設スタッフとの距離感や関わり方など、コミュニケーション力が薬局窓口で働くよりも必要
- 学びや経験を多く得られる分、時間と労力がかかる
\薬剤師の介入希望の方はご連絡ください/
現代の医療の隙間を埋めるサービスを実践【プライベート相談】
薬局をご利用していない方の相談を24時間対応でやっています。
ほとんどの場合、薬をもらっている薬局の薬剤師が相談やアドバイス対応していると思いますが、中には相談しにくいと感じる人や信頼できる薬剤師に相談したいと考える人は少なくありません。
夜間や早朝の相談や個別性の強い相談は特にしにくいようです。
知り合いから、薬局を利用していなくても栗原にいつでも相談できるサービスを作ってほしいと依頼を受けました。
これは、試験的なサービスですが、本当の意味のかかりつけ薬剤師に近づけるチャレンジです。
子育てサポート薬剤師 TOKOAGE GIFT
薬剤師として評価された受賞歴|やってきたことを学会での発表歴| 経歴・実績
受賞
社長賞受賞
第2回
日本調剤グループ学術大会全国大会
社長賞
学会発表実績
2014年5月24〜25日
第25回日本在宅医療学会学術集会 @岡山
一般演題 口頭発表
IT (ID-Link), 非ITネットワーク活用の在宅事例から, 地域医療 - 介護連携におけるかかりつけ薬局の関わり方の検討
2017年8月6日
第2回日本調剤グループ学術大会 全国大会 @東京
口頭発表
医療を日常に近づける挑戦~地域包括ケアシステムに向けて~
2018年6月8〜9日
第20回日本医療マネジメント学会 学術総会 @札幌
一般演題 口頭発表
調剤薬局チェーンの地域活動と地域貢献
2019年7月11〜12日
第1回日本在宅医療連合学会学術大会 @東京
シンポジウム シンポジスト
地域一体型NST(栄養サポートチーム)訪問から居宅療養管理指導へ移行した症例を通して薬局薬剤師の役割を検討
2020年7月23日
第11回日本プライマリ・ケア連合学会学術集会 @オンライン
ポスター発表
食のイベントを通じて、薬剤師が地域で活動して見えてたこと
2021年2月28日
山形県薬剤師会学術大会 @山形
一般演題 口頭発表
withコロナ時代の薬局が行う地域医療 〜薬剤師の非薬物療法を用いたコミュニケーション術〜
2021年7月22日
日本在宅薬学会学術集会 @オンライン
シンポジウム 薬局の食支援活動と制度への提言 ー薬局も薬剤師も地域のハブになれー
座長・オーガナイザー
2021年9月19日
第18回日本プライマリ・ケア連合学会 秋季生涯教育セミナー @オンライン
セッション:もう一度考える! 薬剤師からの情報発信~COVID19
ディスカッサント
読者の皆様へ筆者が伝えたいこと| ブログのコンセプト
《ブログのコンセプト》
薬剤師資格を最大限活用した働き方情報を発信中!薬剤師としての自身の価値を考えるきっかけに!